江戸時代の書物に『封内土産考(ほうないどさんこう)』というものがあります。
1798年(寛政10年)に、里見藤右衛門という人が記したもので、宮城県の特産物が紹介されています。
その中からひとつずつピックアップして紹介してみたいと思います。まず1回目は「スズムシ」です。
封内土産考には122の物品が紹介されていますが、その中に『宮城野鈴虫』というものがあります。
仙台市の「虫」は「スズムシ」です。それほどまでに仙台を代表する虫であります。
鈴虫はHomoeogryllus japonicusという学名を持っていて、japonicusとあるように純日本産だそうです。
余談ですが、佐賀県を中心にした北九州の一部に生息するカチガラスという鳥がいるのですが、(カラスといってもスズメ科の鳥だそうですが)学名がピカピカジャポニカといって、八木山動物園で見ることができます。とてもかわいくて、カチカチ鳴くから「勝つ」とかけて、豊臣秀吉の朝鮮出兵の時に日本に持ち込まれたらしいです。
1.スズムシは飛ぶことが出来ません。後ろ羽が退化しているためです。
2.メスは鳴きません。メスを惹くためにオスが鳴くのでしょうけれども、メスはそのオスを食べてしまうことがあるようです。子孫を残すのはいつも命がけです。
3.また、泣き声は周波数が高すぎて電話では聞こえないといいます。
平安貴族達はカゴに入れて泣き声を楽しんでいました。源氏物語にも「鈴虫」という話が出てきます。この中で源氏は捕まえた鈴虫を秋の風情に作り変えた庭に放したとありますので、そのような事も行われていたのでしょう。
江戸時代に入ってから庶民の間でも虫を飼うことが始まりました。
「虫売り」も現れて、都市ではかごに入れられた虫が売られます。鈴虫は中でも代表格だったのではないでしょうか。
宮城野鈴虫はその鳴き声の美しさで有名になったのでしょう。宮城野原では鈴虫の大合唱が聞けたことでしょう。
今は高森山、枡江の森、鶴ヶ谷中央公園でよく聞けるそうです。
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